シカによる被害と効果的な害獣対策

ニホンジカは全国的に分布を拡大し、農業・林業に深刻な被害を与えています。2016年度には農作物被害額が約56億円、林業被害面積は5,600haに達し、被害は年々深刻化しています。

シカは反芻動物で植物を幅広く食べるため、水稲・野菜・果樹・樹皮など被害作物は多岐にわたり、森林の生態系や景観にも影響を及ぼします。高い跳躍力や警戒心の強さを持つため、従来の柵や単純音・爆音・超音波などの対策では効果が長続きせず、「馴れ」による限界が指摘されています。

そこで近年注目されているのが、生態音響（ディストレスコール）を活用した音による害獣対策です。仲間の苦渋音や犬の吠え声、ライオンの唸り声など、シカが本能的に危険と認識する音を活用することで強い警戒反応を引き出し、侵入を防ぐ効果が確認されています。

効果的なシカ対策には、

藪や竹林の整理による環境管理

行動特性に合わせた防護柵の設置

必要に応じた捕獲

音響を利用した持続的な追い払い

といった総合的な害獣対策が欠かせません。特に省力的で経済的な「音を利用したシカ対策」は、過疎化や高齢化が進む地域においても有効な手段として期待されています。

弊社の害獣対策は、学術知見と実証試験に基づき開発された ディストレスコールを活用した害獣撃退装置 に特徴があります。

特長

１．発信源を特定させない工夫
　複数箇所から同時に生態音響（ディストレスコール）を発声することで、シカをはじめとする害獣が音源を特定できず、馴れを防止。特にシカ対策では、1か所だけの発声では効果が薄いことが実証されています。（同時異種発声システム）

２．多様な忌避音の活用
　猟友会提供のシカ捕獲時の苦渋音、天敵の威嚇音、猟犬の吠え声などを組み合わせ・重ね合わせて発声し、害獣に強い警戒・退避行動を起こさせます。

３．ランダム・重ね合わせ発声
　単一設置の場合でも、ディストレスコールをランダムや多重に発声することで害獣の混乱を誘発し、持続的な追い払いを実現します。

４．柔軟な運用
　定時発声の間隔設定や、害獣検知時に即座にディストレスコールを発声する仕組みを搭載。赤外線型・マイクロ波型の検知装置を選択可能で、約30m以内の害獣を検知できます。

５．高性能スピーカー
　超音波変調を利用した特殊スピーカーにより、126dBの大音量を害獣にだけ届けることが可能。人の生活環境での騒音問題を抑えつつ、強力な害獣対策を実現します。

システム概要

※「同時異種発声システム」は、複数の発生装置を防護区域に設置し、苦渋音などのディストレスコールを同時かつ異種で発声。害獣が音源を特定できないようにすることで、「2度目以降の馴れ」を防ぎ、継続的な被害軽減に大きな効果を発揮します。